八重歯は放っといて良いものですか?悪いものですか?
こんにちは。 しぶかわ歯科クリニックです(*^▽^*)
ひと昔前の日本は、幼さや可愛らしい雰囲気を好む風潮があり、八重歯についても“可愛らしい”といった価値観を持つ人が多い時代でした。
八重歯があるとニコっと笑ったときのチャームポイントとしてとても好印象で、ひと昔前の人気アイドルは八重歯を売りにしていることが多かったです。
一方で八重歯が可愛いとされていたのは実は日本人だけで、海外では「ドラキュラの歯」の象徴とされています。海外では昔から歯並びの良さを重視する考え方が主流なので、見た目の美しさやビジネス面でのマナーにおいても、八重歯が好まれることはないようです。
しかし現代の日本では審美歯科が普及している影響で、『歯並びが綺麗で歯が白い』ことが美学とされています。
実際、八重歯が気になる、八重歯を治したい、と言ってご相談にいらっしゃる患者様は昔より多くなっているように感じます。
八重歯とは?
八重歯とは上顎の前から数えて3番目の歯(犬歯)が外側に出ている状態で、歯が重なって生えることで“八重桜の花のように花びらが重なっている”ように見えることから八重歯と呼ばれるようになりました。
八重歯は不正咬合の一種である「叢生(そうせい)」に分類されます。叢生とは、ガタガタの歯並びのことを指す、専門用語です。
また、犬歯はいろいろな名前がついていて、「八重歯」以外にも「糸切り歯」と呼ばれることもあります。
犬歯の役割
犬歯は歯の中でも最も根が最も長くて丈夫な歯で、歯の中で最も寿命が長いと言われています。
犬歯には、お口が正常に機能するために大変重要な役割があります。
糸切り歯とも呼ばれるように、尖った先端で食べ物を噛み切る役割もありますが、「犬歯誘導(けんしゆうどう)」と呼ばれる噛み合わせに重要な役割があります。
人は食べ物を噛む際に、奥歯を上下に噛むだけではなく左右に動かして食べ物をすりつぶして咀嚼をします。
犬歯誘導とは、顎を左右にずらしたときに、上下の犬歯だけが噛み合って奥歯に隙間ができて奥歯が噛んでいない状態になる噛み合わせのことです。
犬歯がすり減ったり、かけてしまったり、もともと犬歯が下の歯に当たらない噛み合わせだったりすると、犬歯誘導が機能していない場合があります。
そうなると、歯ぎしりや食いしばりなどによって奥歯に負担がかかり、歯が折れる、かける、痛みが出る、しみる、などの症状が出ます。
八重歯になる原因について
八重歯になる原因はいくつかあります。
基本的には歯が並ぶスペースがないことが原因ですが、歯が並ぶスペースがない要因は、
①遺伝的に顎が小さい
日本人は欧米人に比べて顎が小さい人が多いので、遺伝的に顎が小さい人も多いです。
②顎の骨の発達不足
幼少期に硬いものをあまり食べなかったり、よく噛んで食べる習慣がなかったりすると顎が未発達になることがあります。
③なんらかの原因で乳歯が早く抜けて適切な位置に生えなかった
永久歯の犬歯は、もっとも遅く生えてきますが、乳歯が早く抜けてしまうことで奥歯の永久歯が前の方に移動して生えてくるケースがあり、犬歯の生えるスペースがなくなってしまいます。
④なんらかの原因で乳歯がなかなか抜けなかった
乳歯が長くあると、永久歯の犬歯がずれた場所に生える可能性が高くなります。
⑤歯の大きさが通常より大きい
歯が大きいとスペースが狭くなり、歯が生える時に乱れて生えてきてしまいます。
⑥過剰歯(かじょうし)
上顎の前歯あたりに過剰歯があると八重歯になってしまう要因になります。また歯の本数が多いと犬歯が押し出され、八重歯になります。
八重歯が及ぼす悪影響について
八重歯を放置すると口腔内に様々なリスクが出てきます。
①虫歯や歯周病になる
歯が重なっている部分には歯ブラシが届きづらいので汚れが落としきれないのでむし歯や歯周病になるリスクが高いです。
②口呼吸になりやすい
八重歯は通常の位置より外側に生えているので、唇を閉じにくくなり、口呼吸になりやすい傾向にあります。口呼吸になるとドライマウスを引き起こし、唾液が現象することで口腔内に悪影響が及びます。
③肩こりや頭痛を引き起こす
歯並びが悪いと噛み合わせが悪くなるので、噛むたびに顎の関節に負担がかかります。顎の骨と肩や首の関節が連動して肩こりや首こりを発症し、頭痛が出る方もいます。
④唇を切る
犬歯は外側に出ているため、ボールが当たったり、転んだ時に唇の内側を切ってしまったり、傷つけてしまいやすくその部分に口内炎ができやすくなります。
最後に
このように八重歯をそのままにしていると、見た目だけでなく、歯や口の健康にも影響を及ぼしてしまいます。
ある研究結果によると、80歳で20本以上歯が残っている方の歯並びや噛み合わせを調べたところ、デコボコの歯並びの人や八重歯の人はいなかった、との報告があります。
歯をなるべく失わないためにも、八重歯は放置せずに歯が健康なうちに矯正治療されることをお勧め致します。
(※矯正治療は保険適用外の治療となります。矯正の治療中に稀に口腔内に違和感や痛みが生じることがあります。また、矯正治療の効果には個人差があります。)