矯正治療中に妊娠したら？気をつけるポイントやセルフケアを解説

こんにちは。森下しぶかわ歯科です(*^-^)

大人になってから歯列矯正を始めた方で、よくご質問があるのは「矯正治療中に妊娠しても大丈夫なのか？」ということです。妊娠中はご自身の体調はもちろん、お腹の中の赤ちゃんの安全が第一ですよね。

今回は、矯正治療中に妊娠した場合に治療を続けられるのか、そして気をつけるべきことなどをお話ししていきます。

妊娠しても歯列矯正の治療は続けられる？

結論から申しますと、答えはYESです。

妊娠中であっても、歯列矯正の治療を継続することに問題はありませんし、何か特別に治療方針が変わるようなこともありません。ただし、患者様によってはつわりの症状が重く、矯正装置がお口の中にあることで不快感が増してしまうこともあります。そのような場合には、矯正治療は一時的に中断し、体調が落ち着いてから再開するのも一つの方法でしょう。妊娠初期で周囲への報告がしづらい方もいらっしゃるかもしれませんが、精神的なストレスを可能な限り減らして矯正治療を続けていくためにも、遠慮なくご相談ください。

妊娠中の歯科治療で気になること

基本的に妊娠中であっても矯正治療を継続することに問題はありません。矯正治療に関連する歯科治療で、妊娠中に行えるのかご質問の多い2点について以下にご紹介いたします。

・抜歯

矯正治療で抜歯が必要になることもありますが、抜歯では局所麻酔の使用や抗生物質の服用が必須になります。そのため、条件が整えば安定期に抜歯を行うことも可能ですが、矯正治療における抜歯はさほど緊急性の高いものではないため、出産後に行う場合もあります。産婦人科、矯正それぞれの担当医とよく相談することをおすすめいたします。

・レントゲン撮影

歯科用レントゲンやCTの被ばく量はごく僅かで、かつ歯科での撮影範囲は頭部のみになりますので妊娠中であっても特に問題ありません。当院では、妊娠中の方でも安心・安全にレントゲン撮影が行えるよう、放射線防護衣を必ず着用していただいております。

妊娠中の矯正治療で気をつけること

妊娠中はエストロゲン、プロゲステロンといったホルモンが増えることから、平常時に比べて細菌の活動が活発になり、お口の中の環境が変化しやすくなります。また、つわりが重く歯磨きが十分にできなかったり、食生活が不規則になったりすることでも、お口のトラブルが増える傾向にあります。

中でも、「妊娠性歯肉炎」には注意が必要です。症状は一般的に知られている歯周病とほぼ同じで、歯ぐきからの出血や腫れが生じます。しかし、普通の歯周病と同じだから、と軽視することはできません。歯周病のある妊婦では、歯周病のない妊婦に比べて、早産のリスクが約2倍、低体重児出産のリスクが約3倍高くなるという研究報告もあります。そのため、歯周病が重症化しないうちに治療を進めていくことがとても大切です。

矯正治療中に妊娠した場合のセルフケア

ワイヤー矯正の場合は特に、ブラケットやワイヤーがついていることで歯が磨きにくくなります。さらに、つわりなどにより歯磨きが十分にできない可能性もあるため、可能な範囲で歯周炎や歯周病を生じないようなケアを心がける必要があります。

まず、つわりが重く歯ブラシを口に入れることも難しい場合は、洗口液でお口をゆすぐだけでも多少の効果は期待できます。もしくは、子ども用のヘッドの小さい歯ブラシや、毛束が1つのワンタフトブラシを使うこともおすすめです。いずれもヘッドが小さいため、一般的な大人用の歯ブラシよりもお口の中に入れたときの異物感が軽減できます。

つわりが落ち着いてきたら、ワイヤー矯正のブラケットやワイヤーの周り、インビザラインでのアタッチメントの周りなど、細かいところまでしっかり磨くようにしましょう。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシなどの補助清掃用具を活用すると効率よく汚れを落とせるのでおすすめです。

これらのセルフケア以外にも、歯科医院で定期的にクリーニングを行うことも大切です。

臨月～出産後も矯正治療を継続することは可能？

臨月ごろから出産後しばらくは矯正治療をお休みする方も多くいらっしゃいます。特に出産後は赤ちゃんのお世話で忙しく、通院のために生後間もない赤ちゃんを預けられる環境にあるかどうかはご家庭により異なるからです。ある程度生活リズムや体調が落ち着いてから、治療を再開しましょう。場合によっては、中断期間中に動いた歯が後戻りしないよう、保定装置（リテーナー）をつけていただくこともあります。臨月に入る前に、矯正担当医とよく相談して産前・産後の治療計画を再確認しておきましょう。

まとめ

今回は、矯正治療中に妊娠した場合に治療を継続できるのか、また気をつけるべきポイントについてお話ししました。当院では、妊娠中であっても安心して矯正治療を継続していただけるよう、サポートしております。ご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。