歯科医院で行うPMTCはどんな処置?目的や手順について解説します
こんにちは。しぶかわ歯科クリニックです(*^_^*)
今回は、PMTCの目的や手順についてお話ししていきます。1日に1回以上は歯を磨いている方がほとんどかと思いますが、残念ながらセルフケアだけでは全てのプラークや汚れを落とすことができません。そこで必要となるのが、徹底的にお口の中の汚れを除去するPMTCです。
PMTCとはどのような処置?
歯科医院で行う専門的な歯のクリーニングを、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)といいます。これは、お口のケアのプロフェッショナルである歯科医師や歯科衛生士が専用の器材を用いて行う処置です。予防歯科の先進国であるスウェーデンで考案されました。
なぜPMTCが必要なの?
毎日歯ブラシをしていても汚れは完璧に落とすことは難しく、特に歯石は歯ブラシで落とすことができません。歯を失う主な原因となるむし歯や歯周病の原因は、プラーク(歯垢)です。これらの歯の病気を予防するには、まずはプラークを確実に除去することが必要です。お口の中を清潔に保つことは、ご自身の歯を1本でも多く長く残すことに繋がり、生涯を通して自分の歯で食事を楽しむことができます。このように、PMTCはお口の中の衛生状態を管理することでむし歯や歯周病を予防することを主な目的としています。
プラークが硬くなった「歯石」とは?
お口の中の汚れというとプラーク(歯垢)を思い浮かべる方は多いかと思いますが、実はこれだけではありません。歯に付着したプラークが、唾液に含まれるカルシウムやリン酸によって石灰化し、石のように硬くなったものを「歯石」といいます。食事をしてからプラークが形成されるまでは約8時間といわれていますが、そのプラークが歯石になるまでの時間はわずか48時間ほどです。したがって、疲れて歯を磨かずに寝てしまう、歯磨きが十分にできていないまま時間が経過してしまう、といったことがあると、すぐにプラークは歯石になってしまいます。
歯石はプラークと異なりその中で細菌が繁殖することはありませんが、歯石の表面はざらざらと凹凸があるため、その凹凸に更なるプラークが付着しやすくなります。歯石そのものが歯周病に直結するというよりは、さらにプラークを溜めやすい環境を作り出してしまうことが問題なのです。また、歯石は歯ブラシで磨くだけでは落とすことができないので、歯科医院で専用の器材を用いて除去しなければ取れません。歯ぐきの上の見えている部分につく歯石(縁上歯石)以上に厄介なのは、歯ぐきの中の見えない部分に付着した歯石(縁下歯石)です。縁下歯石は歯周ポケットの中についていますが、これは縁上歯石よりもさらに硬いものなので除去するのも困難で、歯周病を進行させる原因となります。
PMTCの手順
PMTCでは大きく分けて2種類の処置を行います。「歯石除去」と「歯面研磨」です。それぞれの内容について具体的にご紹介します。
・歯石除去
まずは、スケーラーとよばれる専用の器材を用いてセルフケアでは落とし切れないプラークや歯石を除去します。このとき、プラークや歯石がついている場所、付着量などを考慮してどの器材を使用するかを選択します。機械式の超音波スケーラーやエアスケーラーのほか、手作業で歯石を1つずつはじきとるハンドスケーラーがあります。
・歯面研磨
プラークや歯石を除去したあとには、再付着を防ぐために歯の表面を滑沢に磨き上げます。この処置には、専用のブラシやシリコン製のラバーカップ、研磨剤を含むペーストなどが使用されます。
PMTCを受ける頻度
よくいただくご質問の中に、「PMTCはどのくらいの頻度で受けるべきか」というものがあります。PMTCは、一度受けたらそれで治療が完了するものではありません。定期的に受けていただくからこそ、効果を発揮します。そして、PMTCを受ける適切な頻度は、その人によって異なります。ご自身でのセルフケアの精度や、歯石のつきやすさ、むし歯や歯周病のリスクなどが患者様ごとに異なるからです。したがって、一概に「〇カ月おきに受けましょう」というアドバイスはしておりません。正しいセルフケアである程度お口の中の管理ができている方や、むし歯や歯周病のリスクが比較的低い方に関しては、4~6ヶ月ごとでも十分な予防効果を得られるかもしれませんが、歯石がつきやすい人やむし歯や歯周病のリスクが高い方は2~3ヶ月おきの受診がおすすめです。頻度については、担当歯科医師や歯科衛生士までご相談ください。
まとめ
今回は、PMTCの目的や手順についてご紹介しました。歯を失う原因となるむし歯や歯周病を予防するためには、毎日の丁寧なセルフケアだけでなく定期的に歯科医院でPMTCを受けることが非常に重要です。PMTCで隅々の汚れまでしっかり落としたあとには、日頃のセルフケアとは異なる爽快感やスッキリ感を味わうことができ、お口の中を清潔に保つことへのモチベーションを上げることにも繋がります。定期的なPMTCで、お口の健康を守りましょう。