矯正をせずに正しい歯並びに導くための方法ってありますか?について解説します!
歯並びの問題は、ほとんどの場合、自然に良くなるということはありません。成長過程で良くなっていくであろうと期待する親御さんもいらっしゃいますが、年を取れば取るほど悪化するケースの方が多いのが現状です。
歯に一定の力を加え続けることで、歯は動きます
歯は動きます。その歯の特性を活用して歯列矯正を行いますが、歯並びを自分の力で治そうと割り箸などで力を加えたりする方が時々いらっしゃいます。間違った力で間違った方向に導いてしまう可能性が高く、余計に悪化させてしまいますのでおすすめできません。
成長期の大事な時期に日常的に変な癖があると、顎の成長や骨格の成長のバランスが崩れ、出っ歯になったり、受け口になったり、歯並びが悪くなったりと悪影響が及びます。
例えば、舌で歯を前に押す癖があると、やがて歯が動いて前歯に隙間ができてスキッ歯になってしまったり、唇を噛む・指しゃぶりの癖が治らない、と「開口」と呼ばれる症状になります。開口とは、奥歯はかみ合っているのに、前歯が噛み合っていない状態です。
他にも、横向きに生えた親知らずが痛みがないからと言って放置していると、前に押す力がかかり続け、場合によっては前歯が引っ込んでしまうなどの影響が出ます。
このような歯にかかる力が持続的にかかり続けると、大人であっても影響が出ますし、時に成長期のお子さんは大きく影響が出てしまいます。
矯正歯科医に相談した方が良いチェックポイントとは?
・乳歯時期のかみ合わせが反対咬合である
上の歯が下の歯よりも前に出ている状態が正常なかみ合わせですが、上の歯よりも下の歯が出ている、もしくは差がない(切端咬合)、かみ合わせの状態
・永久歯が生えてきて、小学校低学年の段階で前歯のかみ合わせが反対咬合、または切端咬合である
・両親のどちらかが不正歯列で、歯列矯正をしていた経験がある
このような場合は、早めに矯正歯科医に相談することをおすすめします。
筋機能訓練とは
お子様の出っ歯が軽度の場合は、矯正治療を行わずに筋機能訓練で何とかなるケースもあります。
また、矯正治療と並行して筋機能訓練を行うことで矯正治療の精度を上げることができ、さらに矯正治療が終わった後に起こりがちな「後戻り」を防ぐこともできます。
また顔周りの筋肉のバランスが取れることで、「横顔が綺麗になる」「エラが目立たなくなった」など、見た目にも効果があります。
筋機能訓練とは唇や頬、喉、舌、噛む筋力など口の周りの筋肉のバランスを良くし、機能を改善する訓練方法です。
歯並びやかみ合わせの形成には、幼少期の生活習慣や癖なども大きな影響を及ぼしています。日常生活の中で、口をポカーンと開けて上下の歯の間に舌が出ていたり、飲み込むときに舌を突きだし、歯を押すようなことを舌突出癖といいます。舌突出癖は無意識でおこなっていることが多く、歯並びに大きな影響を及ぼします。
その舌突出癖をトレーニングで改善していくことで歯並びを良くしていきます。
トレーニングをすることで、舌の筋肉の力を強くし、唇や頬、口の周りの筋肉に力を鍛えます。また正しい飲み込み方を覚えていくことも重要です。トレーニングで覚えた舌の位置や唇の状態を保ち、日常生活の中で正しい飲み込み方を習慣にしていくことで、口腔機能を向上させていきます。
綺麗な歯並びになるのに必要な力
私たち人間には元々、歯並びを良くする力が備わっています。
赤ちゃんが産まれた時にはまだ歯が生えていませんよね、大体7~9ヶ月ごろに下の前歯から順に乳歯が生えてきます。
乳歯が生える場所は、歯槽堤と呼ばれる顎の骨の部分のちょうどいい部位に生えてきます。
このようにちょうどいい部位に歯を移動させてくれるのは、唇・舌・頬の力が働くおかげなのです。
唇・頬は歯を内側に押し、舌は歯を外側に押します。内側に押す力と外側に押す力の両方の力があるからこそ、歯が生えるのにちょうどいい部位である歯槽堤の真ん中に歯が生えてきて、自然に綺麗な歯並びになるように歯が並ぶのです。
綺麗な歯並びになるには、お口の筋肉をしっかり鍛えること
近年、「お口ポカン」のお子さんが急増しています。
これは口唇閉鎖不全症といって、無意識の時に口が開いたままになっている状態で、それによって身体のさまざまな不調を引き起こす疾患のことです。
「お口ぽかん」の原因は、舌や口周りの筋肉の弱さです。
お口の筋肉を鍛えるためにも、食事の際に噛み応えのあるものを選んで、噛む回数を増やすことが大事です。また、笛のおもちゃの「吹き戻し」、風船や風車などの口遊びをしたりして、親子で楽しく舌や口周りの筋肉のトレーニングをすることもおすすめです。
他にも「あいうべ体操」や「ガムトレーニング」など、お口周りの筋肉を鍛えるトレーニングはたくさんあるので取り入れやすいトレーニングをするように心がけて下さい。
「お口ぽかん」は、早い段階であれば、トレーニングすることで改善することができます。
最後に
歯並びを気にして矯正相談に来られた方に対して、必ず矯正治療をお勧めするというわけではありません。その方のお悩みがどこにあるのか、どの程度綺麗にしたいのか、何のために歯並びを綺麗にしたいのか、などは人によって様々です。患者様としっかりと話をして、お互いに信頼関係を築きなら、患者様の目指すゴールに一緒に歩んでいきます。
小児のうちに矯正することは、第一治療期と呼ばれ、大きな効果が期待できる時期です。
そういう意味では、お子さんのうちから歯科矯正をするタイミングを図っていくことは大事なことです。 一番効率よく歯並びを綺麗にできるタイミングを逃さずに矯正治療を始めることが、一番良いと思います。