噛み合わせが深いってどういうこと?リスクや治療法について解説します!
こんにちは。 森下しぶかわ歯科です(*^-^*)
歯科医院で「噛み合わせが深いですね」と言われたことありませんか?
指摘されたけど、いまいちそれがどういったリスクがあるのか、どんな原因なのか、などわからないことが多いと思います。
“噛み合わせが深い“という症状は、歯科の専門用語で『過蓋咬合(かがいこうごう)』または『ディープバイト』と言い、不正咬合の一種です。
正常な噛み合わせで「イー」と口を開いた時、上の前歯は下の前歯を1/3~1/4くらい覆っているのが正常ですが、過蓋咬合の場合は、下の前歯がほとんど見えないほど上の前歯が極端に深く噛み合っています。
過蓋咬合だとどんなリスクがあるの?
①顎関節症
上下の前歯が大きく被さっているために歯と歯の接触が強く、下あごの動きが自由にならないので下顎を動かしづらくなります。
その状態が長期間続くと、慢性的に顎の関節に負担がかかり、「口を開けにくい」「口を開けるとカクカク音がする」「口を開けると痛みがある」といった症状の顎関節症を引き起こすことがあります。
②歯がすり減る
上下の前歯が強く接触しているので、歯がこすれてすり減ってしまい、それによって知覚過敏や歯の破折を引き起こします。知覚過敏になると、初期段階であれば知覚過敏の塗り薬やコンポジットレジン修復で対処することが多いですが、進行してしまうと最悪の場合、神経を取る治療(抜髄)をしなければならないケースがあります。
また歯の破折は、根っこの部分まで破折が達している場合はですと、抜歯になる可能性が非常に高くなります。
③見た目が気になる
笑った時に上の歯茎が見えたり、出っ歯になったり、審美的に気になることがあります。不正咬合は歯の機能以外にも見た目的に気になってストレスになる方が多いです。
④炎症を起こす
上あごの内側の歯肉やほっぺの内側を下の前歯で傷つけて炎症を起こしたりすることがあります。
この場合マウスピースを作成して装着することで予防することができますが、根本的な治療にはならないのであくまでも対処療法になります。
⑤上顎前歯の咬合性外傷
過蓋咬合の方は、咬み合わせが極端に低くなるため、下顎の前歯が上顎の前歯を突き上げます。そうなると上顎の前歯に強い力がかかることによって歯周組織が炎症を引き起こすことがあります。(咬合性外傷)
咬合性外傷になると、最悪の場合抜髄または抜歯になることがあります。
過蓋咬合になる原因とは?
過蓋咬合になるにはいくつかの原因が考えられます。
①顎の成長が正常ではないケース
上顎が過度に成長したり、下顎が未発達であると、前歯の過剰な萌出(歯が長い)、奥歯の萌出不足(奥歯が短い)になり、過蓋咬合になることがあります。
②虫歯などが原因で早期に乳歯を失ったり、奥歯を失ったままにしているケース
何らかの原因で乳臼歯または臼歯が早くに喪失すると前歯に負担がかかることになり、咬み合わせが低くなり、過蓋咬合になりやすくなります。
③「舌の癖」や「長期間の指しゃぶりの癖」などの習慣によるケース
3歳を超える指しゃぶりの癖や、舌の癖は、不正歯列の原因となることがあり、また口呼吸になっている方も不正歯列になることがわかっています。
④歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりがあると歯が擦れてすり減っていきます。そうなるとかみ合わせが低くなり、過蓋咬合になる可能性があります。
⑤口の周りの筋肉の緊張
下唇あたりに力が入る癖があり歯を圧迫する状態が続くと、下の前歯が内側に倒れてしまい、過蓋咬合になる場合があります。
過蓋咬合の治療と治療開始の時期は?
原因や程度によっても違いますが、過蓋咬合はワイヤー矯正やインビザラインなどのマウスピース矯正などの歯科矯正で改善します。
前歯を動かし、奥歯を正しい位置まで動かすことで、咬み合わせを正常に導きます。
時期は、乳歯期であれば、歯並びに影響する悪い癖をなくしていくように指導します。
小学生で歯並びに影響する悪い癖があれば、それを直すトレーニングを提案しながら前歯の傾きや、顎の発育が正常に行われるように誘導していきます。
また20才を超えると骨格の成長が終り歯が動きづらくなりますので、成長期の中・高校生あたりで矯正治療を開始するのが良いと思います。
最後に
過蓋咬合は不正歯列の一種で、「歯だけの問題」ではなく、放置していると様々な悪影響が生じてきます。
一見“綺麗な歯並び”に見えても、前歯が噛み込み過ぎている状態になり、基本的に前歯が正常に機能していない状態なので食事の際に前歯を使うことができていません。
過蓋咬合にならないために重要なのはお子様の成長期の間に不正歯列になりうる火種を発見し、下顎の成長の終了までしっかりと経過観察を継続することです。
また過蓋咬合は自分では気がつかない方が多いので、過蓋咬合にならないためにも乳歯期からの歯科検診を強くお勧めします。