歯列矯正で歯が動きやす人と歯が動きにくい人ってどう違うのですか?

歯列矯正にかかる期間は、比較的長期に及ぶことが多いのは皆さんもご存知だと思います。

歯列矯正とはいえ、現代ではいくつかの種類があるので、どれを選択するかによっても治療期間は異なります。

その種類とは、全体矯正か部分矯正か、またワイヤー矯正なのか、マウスピース矯正なのか、とケースバイケースで選択肢が様々です。

歯が動きやすい人の特徴について

同じような矯正治療の方法を選択しても、人によって治療期間が異なります。

歯が動くスピードは人によって差があるのです。矯正歯科医の観点から言わせていただくと、「歯がスムーズに動くケースがある」ということです。

ではどのようなケースで、歯が動きやすいのか、ピックアップします。

軽度の不正歯列の場合

歯並びがそれほど悪くなければ、それほど大きく歯を動かす必要がない為、矯正の期間も短くなります。

舌筋やお口周りの筋肉をうまく使えている方の場合

舌癖や、口呼吸、出っ歯などが原因で、歯を押していたり、お口の筋力が弱い方は、歯列矯正をしても後戻りしやすい傾向にあります。逆にいうとこのような特徴のない方はスムーズに矯正治療が終わるといえます。

成長期のお子さんの場合

成長期のお子さんの顎の骨や歯は、そもそも動きやすいという特徴があります。しかしながら動きやすいということは、前に述べたような舌癖などの癖があると、後戻りしやすい可能性がある為、親御さんもしっかりと見てあげる必要があります。

新陳代謝が良い方の場合

新陳代謝が活発な方は、歯の周囲の組織も代謝が活発なので歯が動きやすい傾向があります。特に矯正期間中は、リズムの良い生活で睡眠時間をたっぷりとって、バランスの良い食事を取るようにすると、細胞が活発化して歯が動きやすくなります。

歯が動きにくい人の原因について

歯が動くのには個人差があります。

歯が動きにくい人の特徴は、

舌癖がある

舌癖とは、常に舌を歯に押し付けているような癖で、日常生活の中で気づかないうちに歯の間から舌が出ていたり、飲み込むときに知らない間に舌で前歯を押していたりします。

本人の自覚があまりない為になかなか治しにくい癖ですが、舌の圧力は侮れません。

歯列矯正は歯を移動させたい方向に力をかけて徐々に歯を引っ張るのですが、それを阻害するような力が継続的にかかると矯正治療の弊害になり、なかなか歯が動きません。

歯ぎしりや食いしばりをする癖がある

寝ている間に歯ぎしりをしたり、何かに集中している時に歯を食いしばっているような癖がある方は「咬合圧」が強い為に歯列矯正で動かしたい歯に圧力がかかる為、歯が動きにくくなります。

歯ぎしりや食いしばりの癖も自分ではなかなか気が付くことが難しいですが、この時にかかる力も歯列矯正治療においては大きな弊害になります。

アンキローシスになっている

アンキローシスとは骨性癒着のことで、骨と歯が直接癒着して結合している状態です。通常、歯と骨の間にはクッションの役割がある歯根膜と呼ばれる組織があるのですが、その歯根膜がない状態を言います。

歯根膜は、歯の根っこを覆っている膜で、歯根膜があるからこそ食べ物を噛んだときに歯応えを感じることができたり、噛んだときのたわみを感じることができる、実は縁の下の力持ち的な大事な膜なのです。

アンキローシスになっている方の場合、骨と歯がくっついて一体化しているため、矯正器具で歯を動かそうとしても歯はうごかないのです。

アンキローシスになっていない歯はもちろん動きますが、アンキローシスになっている歯が一本でもあるとその歯だけは動かない、という現象が起こります。

まれなケースではありますが、このようなる理由で歯が動かない方がいます。

歯列矯正によって歯が動くのはどのくらい?

歯列矯正では、矯正装置を装着して歯を移動させたい方向に力を加え続けて、徐々に歯並びを綺麗にしていきます。歯列矯正によって歯が動くのは、1か月で約0.3~0.5mm移動すると言われています。歯が1か月に0.5mmずつ移動した過程した場合、歯を1mm動かすだけでも最低2か月はかかるということになります。

一般的に、身体の新陳代謝が良い人の方が骨の吸収が早いと言われています。

中には歯列矯正に思った以上に長い期間がかかってしまう方もいらっしゃいますが、矯正歯科医の指示を守らない方や、矯正治療中にメンテナンスを怠ってしまって虫歯や歯周病に罹患してしまうと、その治療にも期間がかかってしまいます。

また矯正後の保定装置(リテーナー)の装着を途中でやめてしまうと、後戻りを起こしてしまい、再び矯正治療のやり直しになる場合もあります。

まとめ

これまで述べたように歯が動くスピードは人によって個人差が大きいので、この矯正治療法であれば何年、こっちの治療法なら何年と、はっきり答えることができません。もともとの不正歯列の程度や、歯の大きさやあごの骨の大きさやあごの位置、虫歯や歯周病があるかないか、舌癖や頬杖をつく癖があるかないか、などによっても期間が変わります。

また、本人がどの程度歯の並びを綺麗にしたいかを設定したゴールも人によってまちまちです。

ご自身にあった矯正治療方法を選択し、矯正歯科医の指示をきっちりと守って、治療を受けるようにしましょう。