歯の矯正は古代から存在していた??歯列矯正の起源や歴史、影響を与えた人物とは?
こんにちは。 森下しぶかわ歯科です(*^-^*)
今日は、歯列矯正の歴史についてお話しさせていただきたいと思います。歯列矯正はいつからどのように始まり現在の治療に至っているのか、このようなことを知ることでこれまで以上に歯列矯正の知識を深めていただければと思います。
現代の歯列矯正とは
現時点での歯列矯正は、透明のプラスチック素材でできたマウスピース矯正を選択する方が急増していています。マウスピース矯正は取り外すことができることから、芸能人や海外の有名アーティストの方などがSNSでマウスピース矯正をしている、と投稿していたりします。
また、従来からある金属を使用したワイヤー矯正や、セラミックを使用したセラミック製マルチブラケット装置など、種類もいくつかあるので、ご自分のライフスタイルに合わせて矯正方法を選択できる時代です。
これまでは、歯にワイヤーを張り巡らせなければならないという見た目に関わるデメリットが伴うために、矯正をするハードルが高かったのですが、マウスピース矯正の登場によって矯正をやってみようと始める方が格段に増えて、矯正の高かったハードルが低くなったように感じます。
このような矯正治療はいつの時代に、どのように始まり、その頃はどのような治療が行われていたのでしょうか?
歯列矯正の起源とは?
歯科矯正は「歯科矯正学」という歯や顎を調節することで正しくない噛み合わせを改善するために研究や分析し、それに伴った治療を行うという学問から始まった治療法です。
歯が動くことは、古代ギリシヤやローマ時代からわかっていたようで、現代の矯正装置とは大きく異なりますが、紀元前の矯正装置が発見されていたことがわかっています。
イタリアではエトルリア人の少女の頭蓋骨が発見された時に、矯正器具を装着していたそうです。頭蓋骨に装着されていた矯正器具は、小臼歯〜小臼歯まで連なった金属製のバンドで、下顎の歯列矯正をするために装着されていたのであろうと予測されています。
古代ローマやエトルリアは、美意識が非常に高く裕福な文明だったことから、衣服や装飾品以外の「歯」にも美を追求していたのであろうと考えられています。またローマのお墓には「矯正装置と使用方法」が書いてある物が発見されております。
歯列矯正の始まり
1728年、フランスの歯科医師ピエール・フォシャールが執筆した『歯科外科医、もしくは歯の概論』がきっかけでワイヤーを使った矯正治療の考えが誕生したと言われていて、現代にわたる矯正治療に大きな影響を与えました。
この頃から歯科矯正学は欧州を中心に広がっていましたが、第一次世界大戦や、ナポレオン戦争、など戦争が繰り広げられるようになり、次第にアメリカで歯科の医療が発展していくことになります。
1903年エドワード・アングル博士が矯正歯学の理論を発表したことから「矯正学の帝王」とも呼ばれるほどに有名になり、その後の矯正技術に多大な影響を及ぼしました。
エドワード・アングル博士は、矯正が歯並びではなくかみ合わせを治すものであるという考えのもと、歯科矯正学ではとても有名な治療法『エッジワイズ法』を生み出した方で、「歯科矯正学の父」とも呼ばれています。
エドワード・アングル博士の功績
エドワード・アングル博士が科学的な根拠に基づいて矯正治療を追求、研究した結果生み出したのが歯列に金属のベルトを装着し、その上からブラケットを溶接する矯正方法、これがエッジワイズ法です。現代の矯正治療で最も選ばれてきたマルチブラケット装置による矯正治療は、このエッジワイズ法を基礎としているのです。
彼は不正な噛み合わせを種類によって分類し、分類においてそれぞれの治療法を確立させました。さらにその治療法を実現させるために、矯正装置を大幅に改良し歯科矯正学の教育学級を設立しました。
日本にはそれから約50年後に歯科矯正の技術が伝わったと言われており、『エッジワイズ法』は、現代の日本の矯正治療の基盤となる治療法です。
エッジワイズ法が発表された約25年後にオーストラリアの矯正歯科医により開発された治療方法が、ベッグ法です。
エッジワイズ法が“強い力で歯を動かす理念”であるのとは反対に、ベッグ法は“弱い力で歯を動かす理念”であり、当時は弱点も指摘されていたためベッグ法を取り入れる医院は少なかったものの、現代で急速に発展しているマウスピース矯正のように弱い力で徐々に歯を動かす理念に通じるものがあります。
どちらにしてもベッグ法はのちにエッジワイズ法に多大なる影響を与えたと言われています。
最後に
歯並びを綺麗にし、見た目を美しくしようという気持ちは古代も現代も同じですね、
違うのは、現代では症例に合わせた矯正治療法を選択できたり、ライフスタイルや金銭面から矯正治療法を選択できるなど、患者様の選択肢が大きく広がっています。
新しい矯正治療法の“マウスピース矯正”が流行しているように、歯列矯正はこれからも次々に研究され続け、新しい矯正治療法が確立されることになるでしょう。