矯正治療で歯が動くのはどんな仕組み?起こりうるリスクも解説

こんにちは。しぶかわ歯科クリニックです(*^_^*)

今回は、矯正治療で歯が動く仕組みと起こりうるリスクについてお話ししていきます。矯正治療では、装置により歯に力をかけ、少しずつ動かしていきます。数ヶ月~数年単位で時間のかかる治療ですが、どのような仕組みで、どの程度の速さで歯は動くのでしょうか。また、矯正治療により起こりうるリスクや副作用としてどのようなものがあるのでしょうか。

矯正治療で歯が動く仕組み

歯は、歯根という歯の根が歯槽骨とよばれる顎の骨に埋まることによって生えています。また、歯根は歯根膜という薄い組織で覆われており、この歯根膜は噛む力が加わった時に歯と歯槽骨の間でクッションのような役割をします。矯正装置により歯に力がかかると、動かしたい方向にある歯根膜が歯槽骨側に圧迫され、縮みます。歯根膜は一定の厚みを保とうとする性質をもつため、縮んだ歯根膜が元の厚さに戻ろうとすることで炎症反応が起き、歯槽骨を溶かす細胞が生じます。一方、歯が動こうとする方向と反対側の歯根膜は、力がかかることにより引き延ばされます。伸びた歯根膜が元の厚さに戻ろうとすることで、新たな骨が作られる細胞が生じます。このようにして歯は動き、移動した後のスペースも埋まります。矯正治療で歯が動く際に痛みを感じるのは、これらの一連の動きが炎症反応であるためです。

装置による動かし方の違い

ワイヤー矯正もマウスピース矯正も、歯が動く仕組みは同じです。ただし、使用する装置が異なります。ワイヤー矯正では、歯につけたブラケットとそこに通したワイヤーにより歯に力が加わります。マウスピース矯正では。装着するマウスピースがもとの歯並びより少しずれるように(目指す歯並びに近づくように)設計されているため、ずれている方向に歯に圧がかかるようになっています。

どのくらいのペースで歯は動く?

上記の炎症反応1回分での歯の動きは0.3~0.5mm程度といわれており、3~4週間の時間を要します。ワイヤー矯正の場合は、歯を3mm動かすには半年ほどがかかることになります。マウスピース矯正の場合は、1枚のマウスピースで0.25~0.35mm程度歯が動くように設計されており、1ヶ月で最大1mm程度歯が動くようになっています

矯正治療で起こりうるリスク

矯正治療で起こりうるリスクとして、歯根吸収と歯髄壊死が挙げられます。

  • 歯根吸収

歯根吸収とは、矯正治療により歯根が吸収され、短くなってしまうことです。先述のように、歯に力がかかると歯根膜では歯根が動く側の骨が溶けて、そして反対側には新たな骨が作られる、という過程が繰り返されています。このとき、歯根膜の中にある歯骨細胞は歯槽骨だけでなく歯根をも溶かしてしまうことがあるのです。吸収する量は、歯根の形態や長さ、治療による移動量が関係していると考えられています。矯正治療を行っているほとんどの方には、多かれ少なかれ歯根吸収が起きていますが、歯根がもとの3分の1程度の長さになってしまうとレントゲン画像からもそれがはっきりと見てとれるようになります。上の前歯に最も起こりやすく、その次に下の前歯、第一大臼歯がなりやすいといわれています。もし矯正治療で歯根吸収が起きても、そのままずっと吸収し続けるということではなく、治療が終われば吸収も止まることがほとんどです。また、歯根吸収が起きても積極的に治療をする必要はありませんが、将来的に歯周病には気をつける必要があります。

  • 歯髄壊死

歯髄壊死とは、歯髄とよばれる歯の神経に炎症反応が起こり、その後歯髄が失活し回復不可能な状態となることです。頻度としてはかなり低いものではありますが、矯正治療中に起こることが稀にあり、神経が1本である前歯に生じやすいといわれています。いきなり歯髄が失活してしまうということではなく、その前段階として急性歯髄炎や歯髄充血といった症状がみられることがあります。矯正治療中にこれらの症状がみられた場合は、一度矯正治療でかけている力を弱めます。ここから回復することも稀にありますが、多くの場合は歯髄の血管が損傷し、最終的に歯髄が壊死してしまいます。歯髄壊死が起こると、歯の色は薄い灰色に変色します。歯髄壊死が起こったら、抜髄という歯の神経を取り除く処置が必要となります。神経を取り除き、神経があった根管を清掃した後、ゴム状の樹脂で神経があったスペースを埋めます。歯の変色に関しては、ウォーキングブリーチといわれる歯の内部から漂白をする処置で改善します。

まとめ

今回は、矯正治療で歯が動く仕組みと起こりうるリスクについてお話ししました。矯正治療の過程で起こりうる副作用やリスクはありますが、専門知識をもつ歯科医師のもと治療を進めていれば対処することはできます。リスクを恐れるあまり必要な治療を受ける機会を逃さないよう、正しい知識や対処法を理解しておきましょう

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